研究成果のご報告
研修の効果を評価する研究
夢を叶える言葉のチカラ
~夢を現実化させる、言葉の選び方・使い方~
研究責任者:稲場真由美(株式会社ジェイ・バン)
研究管理者:齋藤宏暢(薬学博士)
はじめに
ウェルビーイングを叶える
具体的な方法
この度、私たちは関西・大阪万博の「TEAM EXPO 2025」プログラム/共創チャレンジに登録し、「伝え方で自己肯定感をはぐくむプロジェクト」を立ち上げ、自己肯定感を高めるための研究を行っています。
本研究は、これまで学校や企業で自己効力感の向上において実績ある研修プログラムを科学的に評価しました。夢や目標を叶えるステップを具体的かつ理論的に学ぶことが、自己肯定感と自己効力感にどのような効果をもたらすかを科学的に評価し、以下の成果をご報告できることとなりました。
この成果を人々の幸福度向上に役立てていけるよう努力してまいります
研究責任者|稲場真由美
1.研究の背景・目的
背景
夢・目標を描けない時代
最近の社会情勢の変動やテクノロジーの急速な進歩により、未来が不確実になってきています。この状況は、将来への不安を生み出し、大人も子どもも夢を抱くことが困難になっています。
ウェルビーイングに必要な夢・目標
一方で、ウェルビーイング(幸福感)を高めるためには、自己肯定感やメンタルヘルスの充実が重要です。これらは、将来に対する明確な夢や目標を持つことと密接に関連していることが明らかになっています。しかしながら、これらを改善するための方法には一般的なアドバイスが多く、誰にでも簡単に実践できる具体的な手法が不足していました。
具体策の必要性
夢や目標を持つことは、単に希望を持つこと以上の意味を持ちます。それは、個人のウェルビーイングを高め、充実した人生を送るための基盤を形成します。
研究によれば、目標設定は自己効力感を高め、積極的な行動を促すことが明らかになっています。自己効力感が高い人は、挑戦に対して積極的で、困難を乗り越える能力が高まります。しかし、これを実現するためには、誰にでも実践できる具体的な方法が必要です。
夢を叶える具体策
現代社会におけるこの問題に対処するために、私たちは、個人が自身の夢や目標を認識し、現実的で達成可能な目標を設定し、それらを実現するためのステップを踏むことを支援する研修プログラムを開発しました。
このプログラムは、自己効力感を強化し、具体的な目標設定を行う意識・行動変容までを目指しています。夢や目標を現実のものとするための具体的な方法論を提供することで、人々がより充実した人生を送ることを支援します。
過去の実績
本研究の対象となる研修プログラム「夢を叶える言葉のチカラ」は、これまで富山県内の小・中学校をはじめ、高校の硬式野球部、企業研修や自治体からのご依頼で講演を行ってまいりました。子どもたちのモチベーション向上、甲子園の出場、生産性向上、売上アップなど、現実的な効果も得られています。
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講演風景:講師 稲場真由美
富山第一高校・全校生徒向け講演
富山第一高校・硬式野球部
大手運送会社
エビデンスの必要性
このように多くの実績がありながら、これまで本プログラムの効果を科学的に検証してきませんでした。
エビデンスの取得は、科学的な研究や結果が信頼できるものであることを示すものであり、その研修が一貫性と再現性を持ち、信頼できるものであることを示すことができます。今後多くの方々に広めていくためにも安心・信頼の根拠としてエビデンスの取得を行うことといたしました。
本研究の目的
本研究の目的は、夢・目標を達成する方法を具体的に習得する研修プログラム(ワークショップを含む)を展開し、その成果を検証することです。本研究を通じて、夢や目標を叶えるステップを具体的かつ理論的に学ぶことが、自己肯定感と自己効力感にどのような効果をもたらすかを科学的に評価し、ウェルビーイングの具体的な実践手法として定着させることを目指します。
2.評価対象
対象
黒部市男女共同参画事業における講演(2023/11/26)で、44名の参加者を対象に、セミナー前後で本研究と同じアンケートを実施し、研究調査を実施した。
研修プログラム
●研修タイトル
「夢を叶える言葉のチカラ」
●内容
・夢を叶える引き寄せの法則
・夢を叶える目標設定
・壁を乗り越える言葉のチカラ
・夢実現の5段階
・夢を叶える脳の仕組み
・夢を叶える受けとめ方
・夢を引き寄せるワークショップ
・今日からできる第一歩
・夢を叶える自己効力感
セミナー風景
ワークショップ風景
3.評価方法
主に、以下の項目から得られたデータを解析。
研修前後で、計2回の記入式アンケートを実施し、回収後オンラインフォームを使用して集計する。
アンケートの選定
●アンケート方式
ローゼンバーグの自尊感情尺度(1965)10項目を使用。
本アンケートは、国内外で使用されており信頼性も高く、その尺度は、自尊感情に加え自己効力感の変化も測定できると考え採用。
「①全く当てはまらない、②当てはまらない、③どちらともいえない、④当てはまる、⑤非常に当てはまる」のいずれかで回答いただき、各項目に1点~5点を割り当て、合計点数で比較。
2回目アンケートで、研修の満足度について1項目追加する。
●アンケート内容
1.私は、自分自身にだいたい満足している。
2.時々、自分はまったくダメだと思うことがある。
3.私には、けっこう長所があると感じている。
4.私は、他の大半の人と同じくらいに物事がこなせる。
5.私には誇れるものが、たいしてないと感じる。
6.時々、自分は役に立たないと強く感じることがある。
7.自分は少なくとも他の人と同じくらい価値のある人間だと感じる。
8.自分のことをもう少し尊敬できたらいいと思う。
9.よく、私は落ちこぼれだと思ってしまう。
10.私は、自分のことを前向きに考えている。
アンケートの実施
アンケートは、セミナー前後で行うものとする。
4.解析方法
●解析ソフト
R(version 4.3.1)
●研修による効果の比較
研修による効果の比較については、Wilcoxon符号付順位検定(対応のあるノンパラメトリックな検定)によって統計量を解析し、有意水準は5%とした。
●効果量の評価としてCliffのdeltaを計算
Cliffのdelta の効果量は、以下の基準で評価。
・|d|が0.147 未満は小
・0.147以上0.33未満は中程度
・0.33 以上は大
●95%信頼区間
95%信頼区間が0を含まない場合、効果の大きさや方向性についての確信が強まると解釈した。
5.結果
●研修による効果の比較
・10項目中9項目について、有意な変化が認められた。(有意水準は5%)
●効果量について
・10項目中8項目については、中以上の効果量が認められ、95%信頼区間も0を含まないため、効果の大きさや方向性について確信できると解釈した。
●セミナーの満足度について
ご受講者44名中、
97.8%が満足していると回答
・大変満足している…35名
・満足している…8名
・どちらとも言えない…1名
・不満足である…0名
・とても不満足である…0名